【岡山市東区】築80年祖父から孫へ受け継がれた古民家を全面リフォーム
DATA
- 所在地:岡山市
工事:6ヶ月
家族構成:
夫婦・子1人
施工面積:
231㎡(70坪)
構造:木造(在来)
築年数:80年
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■外観
ご夫婦の強いご希望と担当者全員の意見が一致し、景観を壊さず出来る限り現状を活かすことがテーマでした。その上で、写真右側の牛舎兼茶室をビルトインガレージにしたり、玄関引戸やサッシを全て高断熱仕様の商品へ交換する等、工事をとても慎重に行いました。 -
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■ビルトインガレージ
1階は茶室、奥は牛舎、屋根裏は納戸という昔ながらの増築部分は天井を全て撤去。母屋や梁の構造はそのまま見せ、土壁だった部分に針葉樹合板を貼る事で強度も上がり、和モダンな雰囲気に。 -
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■鉄骨梁で補強
入口の有効高さを上げ、既存の柱を抜く為に、数本のH鋼を使用しました。 -
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■書斎
ビルトインガレージ奥にはご主人の書斎を設けました。製作可能な最大サイズで特注したFIX窓から常に愛車を眺められる贅沢な空間の出来上がり。 -
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■玄関ホール
ご両親やご親戚、ご友人がたくさん遊びに来られるよう、無駄な段差は無くし、あえて広々と配置。写真右側の扉からは外へ出ずとも、ビルトインガレージへの行き来が可能。天井や竹の化粧柱は元々あったものをそのままインテリアとして残しました。玄関収納の下には間接照明が入っており、帰宅の際に温かく柔らかい雰囲気でお出迎え。 -
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■リビング
広々としたリビングの天井と梁は既存のまま利用。とてもいい色合いと「あじ」があり、現地調査に行った時からこのまま利用出来るようプランのご提案をさせて頂きました。床には無垢の杉板を使用。軟木なので傷がつきやすいという特徴はありますが、その分足触りが大変良く、床暖房がなくても温かさ抜群。 -
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■リビング
建具は全て濃いこげ茶色のLIXILのクリエダーク色で統一。 -
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■ダイニングキッチン
アイランド型のTOYOキッチンはご夫婦大絶賛。和の中にステンレスという異素材が絶妙にマッチ。上部は天井を撤去して吹き抜けにし、今では珍しい立派な太鼓梁を全て現しにしました。ダイニングの奥には1.5帖ほどの小上りの畳コーナーを設け、奥様が洗濯物を取り込んで畳んだり、来客時には椅子を用意せずとも腰をかけられるスペースに。 -
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■ダイニングリビング
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■洗面脱衣室
以前は廊下兼脱衣場という間取り。洗濯機を置くスペースも無かった為、浴室の配置を替え、3帖の洗面脱衣室を設けました。 -
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■和室
新たに設けた和室更にこの和室のこだわりポイントは、北側に新たに設けた坪庭を床の間の地窓から見られること。窓のない配置ですが、日中も地窓から外の気配を感じられます。には、床の間の天井に使用しているアジロも、元々は牛舎にあったものを加工しました。 -
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■床の間
2階の床の間で使われていた床板を、時間をかけて表面を研磨して磨き上げ、新たな床板として生まれ変わりました。 -
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■坪庭
昔、実際に使われていた石臼や瓦を利用して坪庭をデザイン。こだわったのは枯山水と曲線に並べた瓦。あえて焼杉を貼る事で、その枯山水が映えるのも、全て担当営業とご主人のアイディア&力作。実は和室からだけでは無く、浴室からもこの坪庭が眺められるのがポイント。 -
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■階段
とても急で簡易的だった階段。2階へ設けた子供部屋への動線を考慮し、配置を変えることで、現在の基準にあった蹴込高さと踏板幅を確保。無垢の集成材の階段へと架け替えました。 -
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■子供部屋
2階は天井が低かった為、1階同様に天井を撤去し、梁を現しにしました。 -
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■納戸
屋根裏だった部分は、元々納戸として活用されていたものの、構造はむき出しで、人が入るには強度も不安。きちんとした部屋として造作しなおし、天井を上げる事でご夫婦のWICとして生まれ変わりました。 -
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■基礎・束石
これだけの家がこの束石で支えられていたなんて…。築80年ですので基礎らしい基礎が無い為、鉄筋を組み、べた基礎にすることで柱を緊結し、耐震補強も行いました。床下からの湿気を防ぐ事もでき、より安全な基礎に。
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■腐食した柱
外周の柱はほとんど長年の雨や風により、腐食が進んでおり、中には宙に浮いている状態の柱もありました。使用可能な部分を残し、全て取替え。 -
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■腐食した土台
牛舎だった部分は基礎の高さが低く、土台が地面に近いことで腐食していました。柱同様に使用可能な部分を残し、全て取替え、新しい土台には防蟻処理を施しました。 -
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■シューズインクローク
家族だけのシューズインクロークはビルトインガレージから直接出入りが出来る動線としました。写真左側のベンチは、元々和室にあった床の間の床板を再利用。経年劣化で割れてしまっていた為、あえて半分を背もたれのように壁に埋め込みました。また、正面に見える白いフックは、実は「ガイシ」を再利用して帽子を飾れるように工夫。 -
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■吹き抜け
80年経っても梁は健在。柱が少ないのも、これだけの大きな梁が使われているからこそ。今まで隠されてきた梁は、化粧をしなおし、新たな役割を得て生まれ変わりました。また、和の雰囲気を邪魔しないよう、照明はあえてスポットライトのみでご提案。光を飛ばして出来る陰影が古民家らしさを際立たせてくれます。
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■和室の照明
床の間の天井部分と同じく、元々牛舎にあったアジロに少し格子をアレンジして天井飾りにしました。
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■書斎
ビルトインガレージ中央のご主人の書斎は秘密基地のような空間。多趣味なご主人の為に収納兼飾り棚もたっぷり。
間取り
BEFORE
AFTER
COMMENT
当初は新築もご検討されていたT様ですが、数年間空き家となっていた築80年の祖父の古民家をお孫さんであるT様が譲り受けるにあたり、お気持ちの中では思い出の詰まった大切な建物を受け継いでいきたいという強い想いがおありでした。その想いが「あじ」のある古き良きものを後世へ残していきたいという担当営業との間に信頼関係を生み、またご夫婦共通の趣味でもある車が室内から眺められるビルトインガレージのご提案を大変気に入って下さった事から、永遠の住み家としてのリフォーム計画が始まりました。「あじ」のあるものを時には実用的に、時にはインテリアとして至る所に使用しつつ、基礎や断熱等を全て新築同様の仕様にした事で、夏涼しく冬暖かい「古くて新しい」住まいに。取材に行ったスタッフが点数をつけるとしたら?と奥様へ尋ねると「100点以上です」とのお言葉を頂く事が出来ました。